正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

東大卒プロゲーマーの読書感想文

こんばんは。

 

東大卒プロゲーマーという本を読んだのでその感想を書きたい。

 

ときどという名前で格ゲー界に名をとどろかせている谷口一氏が自信の歴史とゲームの関係を紐解いていく話だ。

副題は「論理は結局、情熱にはかなわない」今回の感想文では情熱部分については触れないが、より高みを目指すには情熱が必要だということ。

 

ときど氏が小学生のとき、従兄にゲームで負けたことがゲームの道を進む第一歩となった。この負けから「自分より強い人がいる」という気付きを得た。そこから彼は強くなっていき、中学生のときには周りに敵がいないくらいだったそうだ。

 

周りに敵はいないが勝利至上主義で空気が読めないところがあり、ゲーム仲間に諫められることもあった。部活動は幽霊部員で、そういった人間関係のような部分はゲームから学んだ。彼にとってはゲームが人生の師だった。

この本は総じてゲームの良い面が強調されている。

しかし、一つ悪い点が挙げられている。ゲーム熱が上がる一方、学業の成績が下がっていくのだ。それからは自分の時間をやや勉強に多めに振っていたようだが、それでもゲームを軸とする生活を変えなかったのがすごい点である。

 

彼がゲームに学んだことは3つ挙げられており、それらは彼の大学での研究に役立てられたという。うち2つが印象的だったので触れたい。

 

①最短距離で成果を出すということ

格ゲーの世界では2年程度で新ヴァージョンが発表され、キャラの能力値も調整され、今までの戦術が通用しなくなる。そのような状況で勝利数を重ねたいならば100点満点を追及するより80点を最速で出す方法を追及した方が良い。そしてそのために有力なのがしらみつぶしだ。例えばある技Aへの対策をしらみつぶしに調べる。すると他の類似した技Bへの対策の調査にかかる時間が短くなる。最大限に効率的なしらみつぶしが後半の作業を楽にする。

 

②偶然を見逃さない

絶体絶命の局面で無茶苦茶にコマンド入力した際に、バグにしか思えないほど見たことがない動きをするということを発見したゲーマーがいた。彼は探求心に富んでおり、自力でそのコマンドを探し出し、それが後に全身キャンセルという、そのゲームでの必須コマンドになった、ということがあったらしい。

偶然を期待するのではないが、偶然を見逃さないレベルまで探求心・知識を積み上げておくことが大事。

 

ときど氏は研究への情熱を失い大学院を中退し、プロゲーマーの道を目指すことになる。とまぁこのブログを読んでいる人は少ないと思うが、ここから先は本で確かめてもらえればと思う。

 

さて、一番好きな話はプロゲーマーになった後自分の戦い方と向き合う部分である。それまでときど氏は最速で80点を目指すスタイルを貫いていたが、ももち氏というゲーマーと相対してそれではいけないと気付く。

80点に最速で辿り着いても、そのうち周りも追いついてくるし、そのときにはその戦い方はアドバンテージではない。ではどうやって80点の先を目指すのか。

勝とうとしすぎないことが選択肢を増やしたと言っていて、これが印象に残った。ある意味逆説的なのだ。強くなりたければ勝とうとしすぎるなということ。

つまり、今までは勝ちに直結する選択肢ばかり選んでいて、メリットが小さい選択肢を捨ててきた。しかし、それらの中から可能性を拾い出し生かすことで、戦い方に幅が出て、読みあいにも持ち込めた。内容のある試合となった。これらの積み重ねが80点の先の強さなのだと思う。

 

実際自分の生活・仕事でも最善以外は切り捨てがちで、こういう視野の拡げ方は意識しておかないと自分みたいな人間は忘れてしまう。でも拾い上げることで可能性は広がるということを覚えておきたい。