正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

自分のついた嘘を真実だと思い込む人 感想文

嘘に騙された経験はないだろうか?そして他人の嘘を見て見ぬふりしたことはないだろうか?

 

今回は片田珠美さんの「自分のついた嘘を真実だと思い込む人」を読んだので感想を述べたい。

 

この本では嘘をつく人に騙されないためにプチ悪人になることを提案している。

 

嘘つきのためのHow to本じゃないかと思える位に嘘について事例を交えながら解説してある。しかし、学術的な記述は少なく、良く言えば分かりやすい。悪く言えば信憑性に欠ける部分がある(これで事例が作者の嘘だったりしたら膝を打つ)。

 

ここで言うプチ悪人とは相手を疑ったり、嘘をつかれたと思ったときに相手の嘘を暴くという振る舞いを指しているようだ。

 

まず、なぜ人は嘘をつくのか。3つ理由があり、①自己愛、②否認、③利得だ。これらが絡み合うことで自分を大きく見せるような嘘や相手から金銭を奪う嘘をつくようになる。普通嘘をつくとばれたときの恥・恐怖を想像するものだが、嘘が常態化するような人はそのような意識が低い。

そして、それら嘘つきをのさばらせるのがイネイブラーという「見て見ぬふりをする他人」である。本書ではイネイブラーになることの危険性を強く訴えている。なにせ、嘘つきを放置するだけでも場合によっては共犯者になりうるからだ。

イジメの傍観者に近いのかな。

誰かを信じることはその人を信じる自分を信じることなので、なおさら嘘から逃れにくくなるのだ。

 

では嘘つきに特徴はあるのだろうか。これについても本書にて書かれている。

権威がある、信用できそう、良い人に見えるといった特徴がある。言われてみれば普通だが、これらを自分で誇示するようなタイプは注意すべきだろう。

 

騙されやすい人の特徴についても触れられている。①現状に不満を持っている、②孤独の2つ。嘘つきはお金が欲しい、痩せたいなどの他人の欲望に対するセンサーが敏感で、それを満たすのが得意なのだ。つまり不満がある人と嘘つきは親和性が高い。また、孤独だと相談する人がいない。孤独は嫌だなぁ(しみじみ)。

 

ところで、嘘を見抜くのは簡単ではない。巷では「人は嘘をつくときに鼻をこする!」みたいな判断方法があるが、こういうのはあまりあてにならない。なぜならばそれは緊張しているとき全般に見られる特徴であり、嘘をついているときに限らないからだ。やましいときがなくても警察に尋問されたりしたら緊張するじゃん。だからそういった身体面の変化だけで判断するのは危険。

 

そこで本書では質問を繰り出すことによって相手の敵失(相手の失策)を待つことが正解とされている。ポイントは自分がどこまで知っているか明かさないことだ。こちらがどこまで知っているか明かさなければ相手は説明が増えてボロを出す可能性が高くなる。

 

その質問の仕方で参考になったのが「相手の答えを繰り返し聞き、反芻させる」、「事実を膨らませる」、「ずれた質問でペースを乱す」というもの。

 

相手の答えを繰り返すことで相手がまた話を付け加える。基本的には相手にいっぱい話してもらった方がボロは出やすい。

 

事実を膨らませるというのは例えばコンビニのレジから3000円がバイトに抜かれていたことを店長が知っているとして、

店長「誰か分からないがレジから3万円も抜かれてて本当につらいんだ」と言うことだ。こう言うと必ずではないが、罪の意識が軽くなり

バイト「私は3000円お借りしたことあります」

といった言葉を引き出しやすくなる。

 

そしてずれた質問をするというのは、まさしく前回の記事で述べていたことである。

 

dramadmara.hatenablog.com

 とにもかくにも質問をぶつけることで相手からボロが出るのを待つ。

もし相手が逆上してきたならば責めるのではなく冷静に「理解したい」という姿勢を示していくのが基本だ。そして敵失を待つ。

 

冒頭にも述べたのだが、これは嘘つきのためのHow to本ではなかろうかと思ってしまった。全ての章を裏返して読むと、騙しやすい人の特徴や、どうやってだますべきかが分かる。そしてそれらは人から信用を得るために必要なことと変わらないのである。

信用できる人と嘘つきの違いが見えにくいというのが率直な感想。

 

ところで本書では嘘をついたときに感じられる雰囲気を妙な違和感と形容している。この違和感についてもっと詳しい記述があれば、本当に信用の足る人と嘘つきを見分ける指標になり、嬉しかったかもしれない。