こんばんは。
この間昼ごはんを食べに会社の外に出た時のことである。その日は雪の降る日だった。暖冬だった今回の冬の中でも、ちゃんと寒かった。
「こんな日は暖かいものを食べたい」
そう思って最近見つけた居酒屋のランチを食べに行った。
その道中、
「おい○○(私の名前)ー!」と叫ぶ声が聞こえた。路地裏の方からだ。不審に思いながら覗いてみると、そこには高校の時の部活の先輩がいた。でかいトラックに乗っていた。
先輩「久しぶりだなー!全然変わんねーじゃん!!」
私「先輩も変わらないですね!どうしたんですか?」
先輩「仕事だよ。今自分の会社やっててさ、燃料配達してるんだ」
先輩は燃料配達の会社をやっているらしい。で、社員が都合で出られなくなったから代わりに配達をしているらしい。
大学に行ってからの話、現在お互い何をしているのか……。まるで時間が巻き戻ったようで、距離感もあの頃のままのように感じられた。懐かしくなって今度飲もうと約束を交わした。社交辞令にならないようにしよう。
懐かしいついでに昔のことを思い出したので今回はその話。イケメンは必ずしも得じゃないんだなと思った。
昔私は合唱部に属していた(先の先輩とは違う部活動で一緒だった)。そこには1人のイケメンがいた。名前はT君としておく。元気にしているだろうか。
T君はそれはそれは整った顔でしかも背も高い。私のような低身長のジャガイモとは別の世界の住人だ。彼は当然モテた。なんせ、合唱部内で彼を狙っている女性が複数いたくらいだ。
当時の合唱部は女性の方が圧倒的に多かった。先に言っておくが私はそれが目的だったわけではない。いや、本当に。
私は合唱部では空気だった。ジャガイモどころではない。霧散していた。
思い出すと悲しくなってくるので話を戻す。
私はモテるということは無条件に素晴らしいものだと思っていた。しかし、どうもT君は嬉しくなさそうだ。むしろ嫌がっているように見える。
T君「お前は良いよな、モテなくて」
私「は?(ガチ切れ)」
こんなやりとりがあったような気がする。当時は「何言ってんだこいつ」と呆れたものだが、今だったら、全容を知った今ならなんとなく気持ちを理解できる気がする。気がする。気がするだけでやっぱり納得いかねぇわ!
話を戻す。
初めは何ともなかったのだが、そのうち彼に好意的な女子たちの人間関係がギスギスし始めたのだ。
それを合唱部という狭い世界でやってのけるから尚更だ。T君を好きでない女の子も派閥に組み込まれていく。女の子というか、女性特有のアレだ。
T君は本人が望まないうちに人間関係の渦中に巻き込まれていた。
サークルクラッシャーは意図的に注目を集めようとするが、彼はそんな意図もなく注目を集めていた。
今思うと彼を好きだった女子たちはどこか変わっていたなと思う。極度のジャニオタで推し被り許さないガールや行動すべてが突発的な女の子。これらを総合すると、面倒くさいってことだろうな。
イケメンはきっと私のような人間とは違う苦労をしていると思う。
例えば、私に向かってくる女性はいない。つまり私はそのような女性は想定しなくていい。
しかしイケメンには女性が寄ってくる。その一方、自分に向かってくる女性を選別することができないのだ。
イケメンは、女性がイケメンに対して好意を持つことを止められない。
これは想像したらストレスだと思う。
そしてイケメンだけでなく美女も同じ構造の問題を抱えている。なんだかんだ顔が良いというのがメリットだけではないんだなぁと当時思ったものだ。
私のイケメンに対する憧れは、ペンギンが空を飛んでいる鳥たちに向けるそれと同じだったのかもしれない。