正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

「ヤンキーの虎」読書感想文

こんにちは。

 

ヤンキーの虎という本を読んだので紹介したい。

この本で強く感じたのはリスクテイクできるか、もっと言うと行動できるかどうかで人生の色合いが変わるということ。

 

 

 

ヤンキーの虎とは

ヤンキーの虎はこの本では以下のように定義されている。

「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家。」

ヤンキーの虎20Pより引用

ヤンキーの虎の特性は3つ。

①若さ ②チャレンジ精神 ③情報収集能力

 

一方、地方に存在する若者たちで都会にあこがれを持たず、地元での生活に満足している者をマイルドヤンキーと呼ぶ。

ヤンキーの虎は③情報収集能力において決定的にマイルドヤンキーを上回っている。マイルドヤンキーはあまり情報に価値を見出さないが、ヤンキーの虎は対照的に重きを置いており、自らセミナーや勉強会に足を運んでいる。

 

ヤンキーの虎は彼らマイルドヤンキーを上手く使うことで成長してきた。

 

成長の背景にあるのが小泉政権時に受けた地方のダメージ。金融危機により貸し渋り貸しはがしが行われたし、公共事業も激減した。

お金が上手く回らず撤退するしかない会社が多くあらわれた。しかし、ここで潰れなかったのがヤンキーの虎である。彼らは事業を多角化し生き残ろうとした。

事業を増やすには人手が必要だが、それはマイルドヤンキーで対応した。マイルドヤンキーも職を失っていたのだ。両者の利が一致し、虎は大きな成長を遂げる。

 

そして、施策で多くの会社が痛手を負っていたこと、新しい情報を収集する気力も体力もない高齢経営者くらいしか競争相手がいなかったことから、ヤンキーの虎はどんどんシェアを奪っていった。

ほとんどの人は事業意欲に欠け、リスクも取らないため、地方の市場規模自体は小さくても、そこでシェアを取れれば十分採算は取れるのだ。

そりゃそうだよなと思う。リスクを取らないとやれることの幅なんて狭いままだから、取る人の方が事業の伸び幅は大きいに決まっている。

 

 

また、彼らが「誰かにお金を貸さないといけない」と焦る地銀や信金の貸付先になっていたことも大きい。事業の拡大に必要な資金はそこから引っ張ってきた。

 

ヤンキーの虎が求めるもの

ヤンキーの虎の成功の背後にあるのが情報とヒトである。

 

ヤンキーの虎は情報収集を怠らないという話をしたが、最新の知見よりも普遍的な原理・原則を求め、風水などの占いを好むらしい。

 

確かに、事業者と話していると「こんなことも知らないのか」と思うことや「こんなことまで知っているのか」と思うことがある。そして、成功しているのは後者だ。情報収集力は規模の大小関わらず影響力がある。

 

この占いを好むというのは意外だった。虎という言葉から「強く己の道を目指す」という勝手なイメージを持っていたからだ。しかしその実、彼らは精神的なサポートも必要としている。

失敗したくない気持ちが彼らに情報を集めさせるし、心の安定を図るために占いを好むのだろう。

 

これを読んで、マイルドヤンキーは、というか普通の雇われ人は「失敗しても会社が何とかしてくれる」と責任を感じていないから情報収集しないのかなーと思った。真剣味が足りていない。だから情報に対してコストを支払うという考えが足りていない。そして、成功における運の要素を軽視している。

 

地方は都市部以上に人手不足が深刻だ。ヤンキーの虎はヒトに対する関心も高く、彼らは給料ではなく、仲間意識の醸成に努めている。「一緒に働いている」という意識が雇う側、雇われる側両方に必要だと考えている。

確かにマイルドヤンキーも仲間を重視するし、そう考えれば給料以上にそういったものを重視するのはわかる。ヤンキーの虎はマイルドヤンキーととても近いところにいるのだから。分かるけど納得できないんだけど、それはもしかしたら私がマイルドヤンキーになりきれていないからかもしれない。

 

自分で主体性をもって動くこと

第4章が一番響いた。この章はヤンキーの虎が成功するに至った日本の不景気とそれに対応した政策を取り上げ、ヤンキーの虎のこれからについて述べている。

この章が一番著者の感情を感じたように思う。

 

 

社会全体が自分から動かない人(挑戦しない人)に対して厳しくなる一方、動く人にはチャンスを投げかけている。それに対して文句を言うのは筋違いで、お金がある人は動けばいい。

例えば投資でも良い。お金の価値は減っているのに投資に手を出さない人が多すぎる。そしてチャンスを見送り、チャンスを手にした人間に対して「ずるい」「恩恵がなかった」等と言う。

 

お金を持っているのに「貯金が一番だよ」なんて言う人間は自分が無能だと大声で言っているようなもんだよなぁ。

 

結局は自分たちの生活は自分たちでなんとかするしかないんだけど、日本人にはその意識が足りなさすぎる。守っていれば、やり過ごしていれば次の誰かがなんとかしてくれると思っている。何か失敗したときに自分のせいになるのが嫌だから動かない、リスクテイクしないというのが浸透している気がする。

 

マイルドヤンキー(や雇われ人)とヤンキーの虎の一番の違いってメンタル面だと思う。

ヤンキーの虎は成功するためにリスクテイクするし、失敗しないために情報を集める。しかし、マイルドヤンキーは情報を集めない。そもそもリスクテイクしてまで動かない、あるいは現状に満足しているから集める必要を感じない。

ヤンキーの虎は地域の衰退を他人事だと思っていない。だから動くし実際地域の経済に貢献している。

 

この本、というか第4章を読んで、動かずに文句を言うような主体性のない人間にならないようにしたいと思った。

ヤンキーの虎が地方での成功のロールモデルとして浸透することで動くことは良いことだと示せるだろうし、そうなるようにヤンキーの虎を応援したい。