正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

雪、苦労、田舎にて。

今週のお題「雪」

 

あれは昨年の2月上旬のことだった。今年は暖冬であまり雪を見かけないが、昨年北陸地方では豪雪となり多くの人が困難にあえいだ。

今回はその時の己のアホさと苦労話、学びを話したい。

 

2月8日木曜日、私は仕事を定時で切り上げて石川県に向かった。石川県で開催されている練習会で将棋を指すためだ。今はもう将棋から引退したのでそこに行くことはないだろう。

天気予報では雪が強くなるという知らせがあったが、「なんとかなるでしょ」と楽観を通り越して無謀な考えで出かけた。今思えば馬鹿である。

実際、行きはそこまでひどい雪ではなかったので石川県に着くまでは簡単だった。

 

そこには定期的に通っていたのだが、こんな日まで行く必要はなかった。軽く書いてるけどこれでも反省している。

将棋の戦績は覚えていない。確か19時に到着して21時くらいまで将棋をしていた。人がいっぱいいたが、雪を気にして石川県内でも行かななった会員も多かったらしい。

 

問題は石川県からの帰りである。

 

私は最後の対局を終えるとすぐに車に乗った。私の車は軽四なのだが、これが仇となった。話を進めよう。

 

私は帰りにやよい軒に寄った。対局後はいつも近くのやよい軒で晩御飯を食べるのがルーティンとなっていた。この時車をうまく停められなかったのは不運だった。スペースがないというより私の車を停めようとすると雪に埋まってしまうのだ。

なんとか駐車できたが、これは見方を変えるなら不運というより最後のチャンスだったのかもしれない。

 

やよい軒では棋譜スマホに残しながらご飯を食べていた。雪が積もっていくのを窓から眺めていた記憶がある。しょうが鍋定食はオススメ。

 

食べ終わりやよい軒から出ると、私の車は雪だるまになっていた。20分経ったか経たないかの時間の間にそれだけの雪が降ったのはやはり異常とも言える。

私は何とか雪を下ろし、キーを挿して車を動かした。動かした……あれ、動かない?

 

タイヤが雪に埋まって動かないのだ。どうも車の力が足りないらしい。私はスコップを車から取り出してタイヤ周りの雪を削った。これが正しいのかは分からないが、なんとか動かすことができた。15分以上時間がかかったんじゃないかな。

 

何はともあれ出発。富山県への侵入を目指す。石川県から高速道路を使わずに富山県へ入る場合には国道8号線の通過が必要となる。行きも帰りもその道を使っているわけだが、帰りはどうも様相が異なっていた。

 

途中まではスムーズに進んでいた。ちょっと雪が強いな~などと思っていたが、こんなときに鈍感力は発揮しなくていい。

富山県に入ったか入らないかといったところで渋滞に遭ってしまったのだ。詰まったのはトンネルの中だった。何台かは踵を返して石川県側に戻っていった。

 

私は迷ったが列の中で待機することにした。しかし、ふと頭に浮かんだのは事故の可能性。そうなればこの先(富山県側)に行けないことが確定する。なぜならばこの大雪で、しかも両方向から車が詰まっている状態ですぐに救援が来るわけもないからだ。

 

ともすればこの列で待機するということはこのまま車で朝を迎えるということ。石川県側に戻るのも一案だ。そこまで考えてから私も石川県側を目指すことにした。しかし、こちらでも渋滞が発生している。

 

???

 

悩んでも仕方がない。と、スマホで8号線の状況を確認した。最初からそうしろという話なのだが、軽いパニック状態に陥っていた。ガソリンの量がまぁまぁ残っていたのは不幸中の幸いだった。

 

調べてみると富山県方向石川県方向の両方に向けて事故が起こっており、出口がふさがれていたらしい。詰みやん。将棋じゃないけど。

 

やよい軒の時点で入店を諦めてさっさともっと早く富山県に向かっていればあるいは……と思う。タラレバではあるが、やよい軒で晩御飯を食べたのが分水嶺だった可能性もある。そういう意味で、最後のチャンスだった。

 

ここで一つ思い浮かんだのが、途中にある県道を通ること。国道は事故で通れなくても県道ならあるいは……。

ただ望み薄であることには違いなかった。なぜならば同じことを考える人間など、世の中にいくらでもいるからだ。誰かが挑戦して通れているなら渋滞も緩和されているはずだ。

それでも私は動いた。おとなしく車内で一晩過ごせばいいのにね。ガソリンに余裕があったということはここでも生かされた。資材に余裕があれば挑戦もできるのだ。

 

県道付近まで近づくと予想通りその県道も渋滞になっていた。主に大型トラックが並んでいた。ダメかと思ったが、よく見ると対向車線は通れないこともない。もっとも、通れるのは小さい車。国道の渋滞で停まっているトラックにはムリでも私の車ならば行ける。

 

そこで私は糸を縫うように対向車線を通っていった。

先頭の運転手から「後ろに下がりたいから後方の運転手に下がるよう伝えてほしい」と言われたので順次伝えていった。しかし運転手みんなの思惑は合致しておらず、動くのを諦めていたので声掛けは無意味だった。

というかよく考えたら何㎞もバックしきるのは無理じゃないかな。

 

何とか県道を抜けるとそこは銀世界だった。この時点で深夜の1時半なのだが、かれこれ4時間ほど銀世界しか見ていない。

 

不運は続く。山を下りたところで私は油断してしまい、車が埋まってしまった。車の力が足りないのでまたしてもスコップでタイヤ周辺の雪を削った。スコップの柄が取れてしまったので尚更大変だった。

 

そんなこんなでなんとか2時くらいにアパートに辿り着いた。これにて終了!完!

と言いたいところだが、まだ話は続く。

 

アパートに入れないのだ。

は???

 

信じられないくらいの量の雪があって駐車場に車を停められない。正直これには堪えた。帰りさえすればなんとかなると思っていたのに、部屋に入れないのだ。さすがに車を適当なところに置いていくわけにはいかない。

 

私は帰宅を諦めて近所の24時間営業のファミレスへ向かった。そこで朝を迎えることにしたのだ。駐車場にも融雪があって翌朝の出勤もなんとかできるだろうという算段だった。スコップは壊れたし、もう雪を削りたくない。

 

私がそのファミレスに到着すると、一つの車が脇の道で雪に埋もれていた。運転手がいつかの私のようにタイヤの周りの雪を削っていた。

無視して店に入ろうとしたが、足が止まってしまった。

 

私もその日は散々雪に埋まっては車を救い出してきた。だからかもしれないが、他人事には思えなかった。「どうしたんですか?」と声をかけてしまった。

 

運転手は女性で、だからかもしれないが、スコップの使い方はあまり上手くなかった(他人のことは言えないが)。

私は手伝った。手伝っている最中、ファミレスから男性が一人現れて同じように手伝っていた。後で分かることだが、彼はそのファミレスの店長だった。

 

なんとか車は動いて、その運転手は帰路につくことができた。

私も安心してファミレスに入った。この時点で3時過ぎ。なんだかお腹もすいたので豚汁定食を頼んだ。これがまた体に染みる。寒いときに暖かいものはやっぱりおいしい。満たされたからか、私は眠ってしまう。さすがに一夜を明かすつもりでも、寝るつもりはなかったので少し恥ずかしい。

 

起きると7時。ちょうどいい時間だ。会計をすまそうとレジまで行くとその店長から「お代は結構です」と言われた。どうやら夜中に手伝った女性がお店から借りたスコップを返しにきたそうで、そのときに代わりに払ってくれたらしい。

 

これはアレか……?若い女性がバーで飲んでいたら頼んでもないカクテルがやってきてボーイさんから「あちらのお客様からです」とか言われながら見知らぬおっさんから奢られる的な!アレか???(伝われ)

 

まぁ奢ってもらえるんだったらもっと強気に注文しても良かったなーなんて思った。我ながら卑しいが。

 

この件で学んだことは

①冬は特にガソリンをちゃんと補給する

スマホの充電はちゃんとする(モバイルバッテリーも持ち歩く)

③善行はやってみろ

 

8号線がどうなっているか分かったのはスマホのおかげだし、そこで行動できるかどうかはガソリンの残量しだいなのだ。もしもに備えることが大事。

あと、善行はやってみるもんだなとも思った。

まぁこのブログで過去の善行を書いたのは他人から褒められたいからなんですけどね!!!