正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

思い出の味を尋ねる

こんばんは。

 

今日は、昔住んでいたアパートの近くの中華料理屋に行ってきた。いわゆる町中華だ。
土曜の昼、冷蔵庫に何もなければ食べに行ってた気がする。思い出の味に該当していたのかもしれない。久しぶりに行きたくなった。

私はランチの肉のうま煮が好きだった。当時、ランチは一律800円。安いとは言わない。普通の値段に普通の味。うま煮のほか、スープと唐揚げ2個と何か一品ついていたと思う。

 

しばらくぶりに訪ねたお店は店名が変わっていたものの、内装も店員も変わらなかった。ランチを注文するためメニュー表を読んだところ、うま煮はなくなっていた。そして定食の値段も最低価格900円と、変わっていた。900円の野菜炒め定食を頼んでからWORSTを読み始めた。

 

値上がりは仕方ない。だが、メニューがいくつか消えているのは上手く飲み込めなかった。飲み込めないが故に、普段なら読まない漫画まで読み始めてしまった。

届いた野菜炒め定食は、ごはん、野菜炒め、スープ、沢庵、唐揚げ、焼売とキャベツ。前より品目数が減ってるような気がする。

 

食べ始めて、ふと気づいた。私は前の味を覚えていない。当然うま煮はないが、スープやごはんは前からあったはずだ。
これでは「あの時と同じだ」と感慨にふけるのも、「変わっちまったな」と嘆くこともできない。

 

俺は懐かしさを求めてこの店に入った。だが、自分の中に、味はもう残っていない。
ただ当時の気持ちだけが脳にこびりついている。これがなぜか、自分に裏切られたようで、ものすごく寂しいのだ。思い出としつつ、本当は自分にとって大したものではなかったということが。
俺は一体、何を求めていたんだ。

 

例によってオチはない。