正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

見届ける姿勢

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉をご存じだろうか。意味は読んで字のごとくだ。今日、歴史ではないが、他者から学ばなくてはいけないと強く感じた出来事があったので紹介したい。

 

端的に言えば、気持ち悪い男に遭遇した。

 

今日は(休日なのに)仕事だった。解放されたのが16時。ふらりと近場のボードゲームカフェに立ち寄った。この時点で心は骸だった。

 

これは席主に申し訳ないと思うのだが、疲れていた私は来ても何もせず机に突っ伏して寝ていた。幸い(?)人が少なかったので邪魔にはならなかったと思う……。

 

珍しく女性客が来ていた。どうやら最近来はじめたらしく、実に初々しくも席主から将棋を教わっていた。眼鏡をかけたおとなしそうな若い女性だ。将棋は世間でブームらしいし、その煽りかもしれない。

 

席主は将棋と囲碁が強く、教えるのも上手いので指導にはうってつけだ。その席主の指導が終わった後、ある男性が彼女に近づいていく。

 

「僕と一局指しませんか?」

 

二人はそれこそコップを逆さにすれば水が落ちるが如く当然のように将棋を始めた。

それまでは良かった。

 

対局は男性が勝ったようだ。眠たくて仕方がない私はその対局すら見ていないが初心者同士なのできっと白熱した将棋だったと思う。なんだかんだ実力が同じ方が勝負事って楽しいよね。

 

問題はそこからだ。

 

その男性が女性に対して連絡先を聞き始めたのだ。これには私の脳も覚醒レベルが上がっていった。面白いことになってきたぞ。

 

男性「連絡先を教えてくださいよ」

女性「えぇ……なんでですか??」

男性「別に君をデートに誘いたいからってわけじゃないし、個別に将棋を指したいってわけじゃないよ、ただ、君の成長する姿を見届けたいんだ」

 

何を言っているんだろう?と思っていると

 

女性「ごめんなさい、連絡先はちょっと……」

 

と断られてしまったようだ。実はここまでの会話は背を向けて聞いていたやりとりなので彼らの表情は分からない。だが、女性は困っていたのではないかと思う。

 

まず、連絡先を聞くのがその場での適切な行動だったかの議論は置いておく。結論から言えばダメだろうと思うが、最後に触れる。

 

ここではなぜ彼が教えてもらえなかったかを考察したい。理由について3点推測を挙げる。

 

①距離感が測れていない

いきなり連絡先を聞くというのは常識的ではない。私が女性だったら良い気持ちにはならない。全ての女性はうっすらと全ての男性を嫌っている、という言葉もある通り、出会った時点では大抵の男は印象がマイナスだ。どうあがいても。

だからナンパ師でも短時間の間に相手を魅了し、和ませるわけだが、将棋だけでそんなことができるだろうか?

 

②言い訳がましい

発言の内容を精査してみるとかなり置きにいった言い訳がましい言い方だ。「デートに誘うわけではない」って言葉に出したらどうしても女性にはそういう風に想像させてしまう。

また、余談だが連絡先という言い方ももしかしたら良くなかったのかもしれない。ここでLINEとか言えればあまり考えさせずにライトに決断させられたのかもしれない。

 

③目線が意味不明

君の成長を見届けたいってなんやねん。親か。

この男性も初心者なのにとんでもない目線である。デートしたいわけではない、の対抗馬として出した言葉だろうと思うが、如何せん不可思議な言葉だ。

 

ただ、正直言うとこの男性は連絡先聞けてもかわされる(デートにありつけない)パターンになっていたのではないかと思う。そうなるとこの男性はリアルで会ったときにこの女性に詰め寄っていたかもしれない。その展開は席主(や他のお客さん)にとって良い状況ではない。非常に居心地が悪い場になってしまう。

 

つまり、連絡先を聞くこと自体が不適だった可能性は高い。この女性の「教えない」という姿勢は先を見据えた好判断だったのかもしれない。

 

自分がこのような行動を取っていないか、自身の経験だけでなく他者からも学んでいかなければならないと思わされた。

 

他者は鏡。