早く帰りたい。そう思うことはないだろうか。私は平日に毎日そう思っている。
そんな気持ちから手に取ったのが「10倍速く書ける超スピード文章術」。
これで仕事が早く終わるようになるなら買う価値はあるだろう。
この本の工夫として、大事なところは太字にしてある上、ラインが引いてある。各章末に簡単なまとめがあるのも振り返りやすくてGOOD。
さて、読んだ感想を書きたい。これは結果からの逆算の大事さを説いたものだと思う。
この本はまず、著者(上坂徹氏)が文筆が早くなることで仕事が早くなった、文学的な文章と実用的な文章は違うものだという説明から始まる。まぁ、この本を読んで文学作品を書けるようにはなれないと思う。
この本では素材集めこそが一番大事という視点に立って文章の書き方を解説している。キーポイントは文章は上手くなくてもいい、対象読者に合わせて集める素材も変わるということ。
この本を読み進めていくうちに気付いたのが、マーケティングの基本に通じる部分があるということ。これだけだと何を言っているか分からないと思うので、参考になったこととともに説明する。
文章の質を作るのは素材であり、いかに素材を用意するかが文章の質を左右するということ。素材は「独自の情報」、「エピソード」、「数字」の3つだ。
これら素材を集めるためにはどうすれば良いか。闇雲に探すよりも先にすることがある。それが対象読者の設定だ。対象に合わせた素材を集めるのだ。例えば料理の作り方でも、普段料理をしない40代男性に向けられたものと、専業主婦を対象にした文章では必要な素材(と構成)が異なる。
このプロセスはマーケティングそのものだ。対象を決めて、それに合わせたアプローチを行う。対象を決めて、それに合わせた商品を提供するための周辺情報を集めていく過程をそのまま文筆に応用させているようだ。
なお、私はここまで偉そうに語っておきながらマーケティングは詳しくない。
ところで素材はどこに転がっているのだろうか。それは日常の中である。どこで拾えるかは分からないのでメモを取る、メールの下書きを活用(個人的には好きになれなさそうなやり方だと思った)することで普段から素材をためておく。この本を読んでからメモを取ることが多くなった。
もちろん、自分のフィーリングも立派な素材であり、普段から物事に関して自分の意見を持つ(雑感レベル)ことでより集まりやすくなる。
このプロセスは謂わば枝葉から幹を作り上げるイメージだ。素材は葉っぱ。
この本では使いがちな表現に対してNOを示している。2つ挙げてみよう。
①「また」、「そして」のような順接の表現はリズムが悪いということ。
②「面白い」、「悲しい」などの形容詞はそれだけではなぜそうなったか分からず意味不明だということ。だから、形容詞は使わずそのまま素材に置き換えてしまえばいい。
書ききった後は文章をそぎ落としていくわけだが、先ほどの葉から幹へのアプローチではなく、幹から葉へのアプローチとなる。大局を見失わないように視点を大筋から細部へと変えていく。
これら過程を見ると、結論から逆算した行動を取っているだけなのだ。仕事の基本と一緒。
○○を対象にした記事を書きたい(結論)
→文章を書くには情報(素材)が必要
→十分に情報を集める
→十分に情報があるから素早く書ける
さらに、情報集めをスムーズに行うため普段からアンテナを張ってストックしておこうという話なのだ。
ってことは今まで書くのが遅かった私は仕事の基本ができていなかったということなのだろうか……と落ち込む暇はない。これから応用していけばいいのである。
明日はさっさと帰れるように頑張ろう。