正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

SWOT分析が理解できなかった話

今日はSWOT分析の講習を受けてきた。職場の選択制の研修だ。1日がかりでかなり疲れた。

実はこの研修前には「SWOT分析ってなんか信用できないんだよなぁ」と思っていたのだが、研修後もその気持ちは変わらなかった。なぜそう思っていたかは追って説明する。まずはその研修のおおまかな内容に触れたい。

 

SWOT分析とは目的を達成するために外部環境、内部環境を分析して経営戦略を決定するために行うものだ。Sとは自社の強み、Wとは自社の弱み、Oとは機会、Tとは脅威である。SWとOTで2軸を用意しそれをクロスさせて戦略を練る。

 

以下、SWOT分析について学んだこと。

前提として、自社(内部環境)を十分熟知した状態で行うことが求められる。そしてSWOTそれぞれを分析する前に目的を定める。

 

OTSWの順番で客観的に分析することが肝要。戦略の実現性・合理性を高めるためには強みに機会をぶつけるのではなく、機会に強みをぶつけることが大事。逆だと戦略を練るのが上手くいかない。

 

①Oについて

機会を分析するには3C(顧客、競合、自社)やファイブフォース(代替品、競争者、売り手、買い手、新規参入)、PEST(政治、経済、社会、技術)、PLC(導入、成長、成熟、衰退)等の切り口を目的別に使い分けるらしい。3C以外分からねえ。

 

②Tについて

脅威には自分ではどうにもならない外的な要因を挙げる。でもこれはかなり見極めが難しい。見えてない脅威もあるだろうし、見えているものでも本当に自分ではどうにもならないのかどうか判別難しくない?実際研修でもある要因についてTかWかは判断が分かれた。

 

③Sについて 

強みには、相対的に他社に勝る部分を上げること。当然市場では競合している。強みが戦略方針に活かせないならば検討材料から外す勇気も必要。

 

 ④Wについて

弱みは自社の悪いところを単に挙げるのではなく、他社やターゲットとの比較の対象になることを挙げる。日本人は自分の弱味ばかり見るよなぁ。Wは放っておいてもすぐ出てくるから時間をかけなくて良い。

 

そしてこれら要素は全て具体的、客観的な事実である必要がある。当然、「こういう機会があるかもしれない」とか「わが社にはこんな強みがあるはずだ」といった程度の確度ではそこから生まれる戦略の確度も下がる。

 

SWOT分析について話されることは過去にあったが、考える順番の説明は初めてされた。「SWOT分析」で検索しても要素を考える順番については書いてあったりなかったりする。でも当然外的要因から考えるべきだよなあ。じゃんけんだって後出しの方が有利だし、外に合わせて中のことを考えた方が有利。

 

 

さて、午前中はそんな感じの説明をされて、午後からグループワークだった。班を組んで、あるテーマに沿って要因を書き出して戦略まで練ってみましょうというもの。

 

これが大変だった。と同時になぜ自分がSWOT分析が信用できないのかを再認識した。

 

まず、テーマに沿ってそれぞれが各項目を書き出して見せあった。どんなグループワークでもこんな感じの進行なんじゃないかな。

 

班員は4名で、順に説明したのだが、ある中年女性がそのテーマについて「私はこう思う!実は戦略まで考えたの!この考えで行きたい!」と言い放ってから展開が難しくなった。表現が難しいが、明らかに戦略を基に、それに合わせて要素を書き出している。しかも客観性、具体性がほぼない。

 

しかしそれは午前の研修内容とは逆行するものである。外的要因を見て、それに合わせて内的要因を探るものだったはず。

 

一番きつかったのが他者の意見は絶対受け入れないという姿勢だ。何か食い違うことがあって指摘されたりすると「それはあなた達が解消しなさい。それがあなたたちの仕事なの。」と言った。

 

我々はイネイブラーになった。彼女の言う通りに進んでいく。だが、残り3名はうっすらと「本当にこれで良いのか」という思いがぬぐえずにいた。コントロール感を失った我々はむしろ運命的に成り行きを見るようになった。もはやそれは好奇心に近い。これから我々のグループワークはどうなっていくのか。その行く末を見てみたい。それこそ「夜と霧」のフランクルみたいに。

 

SWOT分析を信用できない理由の一つがSWとOTの2軸が実施者によって決まってしまう点だ。特に後者については何を機会、脅威として捉えるかが実施者次第なのだ。

 

主観が入りやすいとも言える。人間は意識では「客観的だ」と思っていても、それは無意識に勝手に整合性を取っているだけかもしれないのだ。

 

今回の中年女性で言うと主観が含まれた戦略が先行して、そのあとに各要素を入れていた。故に矛盾が発生しているところもあったのだが、彼女は各要素を「客観的だ」と認識している。そして、人間は自分の発想というのを大事にする生き物だ。

 

そしてもう一つ。それらを組み合わせて出来上がる戦略にも疑問が残る。SWOT分析の結果戦略が出来上がったとして、それだけではなぜ同業他社がその戦略を取らなかったのかが考察できないのだ。

 

例えば、ハンバーガーのチェーン店をある地域(ハンバーガーチェーン店が存在しない)に出店させるか考えるとして、O(機会)は同業種ではほぼ条件が等しいと想定される。そんな中でなぜ他社が出店しなかったか考察できるのか?

 

機会、とりわけ3Cの分析を入念にしないとそこまで分からない。ともすればめちゃくちゃ手間がかかるのである。

 

 

研修の最後には各班で発表した。大体の班がダメ出しされたのだが、私の班では矛盾点まで指摘された。他の班よりワンランク下の発表かもしれないが、我々は笑っていた。何はともあれやりきったのだ。発表担当は若い方だったが、よく頑張った。いや、本当に。

 

最後は講師が

「正しいとは限りませんが、私なりの解答を作りました」と例を示した。

 

私がSWOT分析をイマイチ信用できない最後の理由はこれだ。どこまでいっても「実施者なりの」戦略になるのだ。正しいかどうかなんて分からないし、ここにも主観が入るかもしれない。

 

どんな方法を取ったとしても確実な戦略なんて生まれないが、だったら別にこの方法じゃなくても良いのではないかと思ってしまう。

 

ということでSWOT分析を理解できたとは言えない状態だ。正直よく分からない。

 

余計な先入観がなければちゃんと理解できたのかもしれない。