前回の記事の続き。予め断ると、虹コンに関するレポは①と③のみになる。
「名古屋市中区まで来てほしい」
気づいたらそうツイートしていた。今思うと会ったこともない人に対してそんなことを言うなんて頭のおかしい奴である。
と、ここでそのフォロワーの説明をしたい。
名前をN氏とする。N氏は学生で、翌日から開催される将棋大会の観戦に四日市まで向かうのだが、その途中に名古屋に寄ったとのこと。当然私とは面識がない。
説明終わり。
しばらくすると「飯食ったんで動けますよ!どこに行けば良いですか?」とリプライが来た。
こんなホイホイついてきてくれると思わなかったので驚いた。と同時に彼が将来悪い大人に騙されないかちょっと心配になった。
私自身名古屋市の地理に詳しくないのだが、大須観音駅を集合場所とした。
途中名古屋市科学館を横目に見てきたのだが、田舎者にはフジテレビのパチモンにしか思えない。
待ち合わせで紆余曲折あったが、無事エンカウントすることができた。
会ってみると普通の好青年だった。
こういう相手の顔が分からない出会いってペアーズみたいで緊張するよね……しない?
かくして歩き出したわけだが、行き先は決まっていない。それを見透かされたように
「どこに向かうんですか?」という言葉が飛んできた。当然である。
私は「どこかで茶をしばこう」と言って商店街チックな場所を練り歩いた。
道中、なぜ名古屋に来たのか、今大学何年生なのか、学部はなんなのか、お互いの近況を話した。
……面接か!いや、申し訳ないと思っている。せめて面白い話題の一つでも準備しておくんだった。
歩いている我々の前に妖しい看板が見えてきた。
「ブログのネタにするならこれでしょw」そう言ってN氏が示したのはメイド喫茶だった。私も実は行ったことがないので気になっていた。一人で入る勇気もないしいい機会かもしれない。カフェに詳しい方が女の子にモテるしね!
それにしてもN氏、このブログのことまで視野に入れるとは……。
我々が扉を開くとメイドさんやお客さんの姿が見えた。
「おかえりなさいませ~~~!」
唐突な当たり前の帰宅である。
「ご主人様、初めての御帰宅でしょうか?」
「はい、初めてです」
初めての御帰宅というのは今月で一番のパワーワードかもしれない。ちなみに看板は入店料と書いてあったけどその辺は整合性取らないのね。
席に座るとメイドさんが家でのシステムを説明してくれる。ベジータだったら「俺に指図するな」と言っているところだが、我々はベジータではない。懇々と説明を受け入れた。
説明してくれた彼女の名前はみさ。御帰宅と言われると前から知っていたかのような錯覚に陥る。クリスマスキャンペーンということで家のメイドはみんなサンタやトナカイのコスプレをしている。
店内には私たち以外にもご主人様がおり、それぞれスマホゲームの周回プレイやご主人様同士の意見交換に花を咲かせていた。なるほどメイドカフェはメイド⇒ご主人様に働きかけるものだと思っていたが、少なくともここではゆっくりくつろげる空間が形作られていた。悪くない。
私は特製ドリンクを、N氏はパンケーキのドリンクセットを注文した。両方1,000円。ドリンクが高く見えるが、これにはメイドさんから心のこもった手紙が渡される。ちなみにパンケーキはメイドさんが絵を描いてくれる。
注文を頼んだ後、我々は雑談をしていたのだが、その光景を見ていたみささんが
「ご主人様たち、そんな仲良くないんですね(^^;」と言ったがこれは真実だ。何せ会って間もないのだから。でも本当は年上がちゃんと話さないといけないよね。
その後はメイドさんを交えながら話をした。名古屋の話、N氏が煮込みうどんを食べた話……。名古屋人は味噌が好きでチューブ状の「つけてみそかけてみそ」という製品が有名らしい。
そうこうしているうちに品物が届いた。別のメイドさん(名前は失念)がN氏のパンケーキ上に絵を描いていく。出来上がったのはサンタ帽をかぶったリス。上手く描くものだなぁ。さすがうちのメイドだ。
パンケーキの写真がないので代わりに私の頼んだドリンクの写真
書いている途中に皿に向かって何か掛け声をかけていたが、どうも名古屋弁ではなくメイドの世界の言葉だったらしい。きちんと聞いておくべきだった。
食べている最中にN氏がアキバでメイドカフェに入った話を聞いた。そこでは帰宅ではなく入国扱いだったらしい。メイドカフェに詳しい人ならこれだけでもどのカフェか特定できるのかな?
というか、メイドカフェを選んだのももしかして単にN氏が入りたかっただけなのかな?と思ったのは内緒である。
メッセージカードが下の写真。みささんに書いてもらった。
N氏には「テンプレって感じですねw」と言われて一瞬そう思ってしまったが、私はメイドを信じるしかない。私は彼女のご主人様なのだから。
ちなみにこれを書いてもらった後にクリスマスの予定を話していたのだが、それを聞いた後だったらこのメッセージも多少は変わっていたのだろうか。
クリスマス is 虚無。
さて、私とN氏の共通項は将棋である。男が二人同じ屋根の下、何も起きないわけがなく……。
なんとN氏、将棋盤と駒を持っていた。やるとしたら将棋ウォーズとかかなと思いきやまさかのリアル対局開始である。私の三間飛車に対して急戦で対抗された。将棋の内容はよく分からないが、途中でメイドさんに家から出るように言われた。
指しかけの局面を写真に収め、次に会う時の再戦を誓ったのであった(誓っていない)。
会計は2人合わせて3,000円。当然私が出した。わざわざ呼びつけた上に金まで出させられない。よくおっさんが若手に飲み代とか奢るけど、あれはわざわざ自分に付き合ってくれた年下に対して感謝しているからなのかもしれない。
かくして私は改札までN氏を見送った。
去り際に「ペアーズ頑張ってください」と言われたのは忘れない。
彼は帰り道にポツポツと目標を話してくれた。頑張ってほしい。
そして私は再度地上へ、ELLへ向かうのであった。
まだまだ続く。