こんばんは。
ふと、初めて異性のLINEIDを自分から聞いた時のことを思い出したので残しておきたい。
別に女性と連絡先を交換したのはその時が初めてではない。だが、それまでは異性とLINEIDを交換することがあっても、大勢が集まったその場の流れで、ということばかりだった。
相手は取引先の女性だった。
別に大して容姿が優れているわけではない。背が小さく頭の回る1個下の女性。
当時は周りに若い女性がいなかったことから彼女が非常にかわいく見えてしまった。
そして彼女は全国津々浦々異動するお仕事で、次の年に異動する可能性があった。
ときはある年度末。忙しい時期だ。
私は居ても立っても居られなくなった。彼女が異動してしまう。もう会うことはない。「な、何かしないと……」などと思っていた。
今思うと全く視野が狭い。女性は男性と近い人数いるのに他に女性がいないような気持になっていた。自分の見える世界で息が詰まりそうになっていた。
だが、ふと気づく。連絡先すら知らない仲じゃないか。スタートラインにすら立てていない。まずは連絡先からだ。連絡先を交換しよう。
よくそんな状態で「何とかしよう」などと思ったものだ。
それから私は日々連絡先を交換するイメージトレーニングをしていた。何やってんだコイツ。
仕事の内容だったらなんでも言えるのに。
たかが連絡先の交換でも、当時の私にとっては大ごとだった。
なにせ知り合いのヒモからは「異性にLINEを聞いて断られるくらいなら人生辞めたほうが良い」と言われたのを覚えていたからだ。
この言葉の意味は「異性にLINEIDを聞いて断られるということはほぼないし、断られるならばそれは相手との距離感を計れていない」という風に解釈している。
決行当日を迎えた。その日は別の会社の方を交えた会議があった。
仕事の話は穏やかに進み、会議も無事終わった。
他の会社の方はそそくさと席を立って帰った。いいぞ。
いよいよ彼女と連絡先を交換する。
心臓が爆音のディスコみたいにうるさい。いや、ディスコ行ったことないけど。
「〇〇さん!」と引き留めた。
私「〇〇さんを××(ここは忘れた)とかに誘いたいです!だから、LINE交換してくぅださい……」
それは消え入りそうな小さな震え声だった。ド急所で自信なさげに振舞ってしまうのは非モテたるゆえんである。
相手「うーん……今スマホ持っていないんですよね」
これは有名なお断りパターンだと思った。
ヒモの「異性にLINEを聞いて断られるくらいなら人生辞めたほうが良い」が頭に鳴り響いた。ダメじゃん、オレ。
少しの間があった。
相手「……ちょっとスマホ貸してもらえますか?」
私「は、はぁ……」
彼女は私のスマホを手に取りすごい速さで何かをフリック入力した。スマホを私に返すと
相手「このアカウント、友達登録しておいてくださいね」
彼女はIDで自分のアカウントを検索して表示してみせた。
帰り道、鏡をみなくても口の締りがないのが分かった。車で来ててよかった。
帰ると上司には「何かいいことがあったか?」とまで聞かれた。
連絡先の交換は成功したのだ。お断りフラグを乗り越えられた。
……実は彼女は翌年も異動することはなく、そして私と彼女の間にも何もなかった。
誘ったが、断られた。
多分、連絡先の交換まではしてもデートなどは嫌だと思っていたのだろう。そういう線引きだったのだろうと思う。
でもこのときの緊張やドキドキはとても大きかったし、目標だった連絡先の交換はできたので良い経験だったと思う。
この経験があるから、まだ頑張ろうという気になれるのかもしれない。異性と接する原動力はこういった体験から生まれるのかもしれない。
最近はペアーズが主だが、このような連絡先の交換に緊張やドキドキがないなーと思う。
なぜ異性の連絡先を聞いたかというところに立ち返ると、その人との関係を変えたい、やり取りを始めたいという、より上を向いた気持ちがあった。
マッチングアプリは逆で、連絡を維持、あるいはクローズするために連絡先を交換する。上昇志向というよりは現状維持のために交換している意味合いが強い(私の場合は)。
いつかあの緊張をまた味わうことはあるのだろうか。