正しい年の取り方

人生に迷うアラサー男が年相応になるまでの雑記

「気にしない技術」の読者感想文

「気にしない技術」という本を読んだので紹介したい。

 

私は結構細かいことを気にしちゃうタイプで対処法に繋がれば良いと思って読み始めた。著者は精神科医だが、出来る限り専門用語を使わずに書かれている。そしてよく論議される事柄について角度の異なる視点を提供してくれている。

 

この本で読み取るべきことは、他人や世の中の常識と自分を比較して消耗してはいけないということだと考える。

 

印象に残ったところを挙げていく。

目標は立てるべきものではなく、立てても良いもの。もし達成できなければショックを受けその後のパフォーマンスに悪影響を与えるということが書かれていた。

大体の書籍では目標を立てることを大事にしているが、それと逆行する指摘だ。これが一番驚いた。通常目的のために目標を立てて取り組むのだが、目標によってはそれが目的達成の妨げになるかもしれないのだ。

だったら絶対達成できる目標と達成できるか不明瞭な目標の二段階で目標設定すればいいのでは?と個人的には思う。

 

 

また、ポジティブシンキングは別に他人から言われて無理にするものではない。と同時に他人に強要するものでもないとも書かれている。前向きであることって会社によっては風土になっているよなぁ。ポジティブは言い換えればリスク選好だから部署によっては悪影響だろうし。確かに全員が前向きである必要はないと思う。

 

速読術は万人向けではなく、視覚優位の人間しか上手くできない。そんなことに拘って本を読む必要はないといったことが書かれているが、ここら辺やマンガの件には著者の主観がやや現れていると思う。私は嫌いじゃない笑

 

物事をテキトーにやるということは私の信条でもあるのだが、これは相手を信頼しているからこそ出来ることであり、厳密さを求めるのは相手を信頼していないということらしい。厳密さを相手に強いれば強いるほど、当然相手は不達成になりやすく、さらに相手に対する信頼はすり減る。相手に対する疑念が止まらなくなるので、テキトーにすることも信頼関係の構築には必要だ。

テキトーにやることに対して信頼関係を引き合いに出すのは珍しい。ビジネス書だったら8割仕上げることで仕事の能率が云々~と言っているところだ。

 

人付き合いが苦手な人ほど割りきって社交的に振る舞うことが出来る。振れ幅が大きいので元の自分とは違うことが認識できてちゃんと切り替えれるらしい。

これは以前読んだパーソナリティ心理学の本でも指摘されていた。

 

職場の人間関係の悪化が仕事の能率やモチベーションを下げるので、何でも良いから会話することが大事だ。というのは色んな本で書かれることだと思うが、本心から仲良くなろうとする必要はないと言っているのが珍しい切り口。こういうのって仲良くするかしないかの二元論になりがちだけど、中間って感じ。

 

新型うつの人にイラつくのではなく、うつにならずに元気に働く自分を誉めるべきだという主張もなるほどで、新型うつの人にイラつくのは自分というものを置き去りにしている。もっと自分に目を向ける必要がある。

 

批判的なことを言われてもすぐ感情の針を動かすのではなく、客観的に状況を捉えてネガティブな感情を先取りしないこと。

感情は資源であり、ムダ使いしてはいけない。この「感情をムダ使いしない」ことが気にしない技術の集大成ではないか。ネガティブな感情を自分から摂取しないためには客観的に捉えること、周囲に対して期待しないこと、もっと自分のことを見ることなのかもしれない。

 

「目標を立てて達成すること」「前向きに考えること」「健康には○○が良い」……これらって大抵他人から与えられた価値観で、これに縛られて(気にして)しまうようではストレスまみれになってしまう。私の持つ「細かいことを気にしてしまうのは良くない」という認識も、他人から与えられた価値観かもしれない。

 

自分のやりたいことが社会的な常識に合わせているだけかどうかは考えていかなければならないと思った。