ふと気づいた。私は喩えが下手だ。
最近それをしみじみと感じたので、「これは失敗だったな」という喩えを交えながらダメな喩えの特徴を紹介したい。間違ってもしたり顔で適当な喩えをしてはいけないのだ。
なぜ喩えてしまうのか
なぜ喩えようとしてしまうのか。
喩えることが相手への理解度を示す方法の一つと考えるからだ。
特に会話のときに使いたいと考えた。
会話の最中に頷いたり相手の言っていることをオウム返しするのはよく会話上達本(?)なんかにも書いてあるテクニックで頻出なんだけど、それだけだといかにも「会話上達本読んできましたよー!」って感じがして、逆に相手は「こいつ本当に聞いているのか?」と思ってしまうのではないかという穿った考えがある。
だから相手の言っていることへの理解度を示す方法は複数持つべきだと考えた。
最初は「つまり、○○ということですか?」と相手が言っていることを自分なりにまとめて確認するというのを試していた。
これはこれで上手く機能するのだが、あまりに使いすぎると会話というより確認作業を行っているように見えてしまうので厳しい。
そこで喩えを交えるようにしている。喩えはその話の聞き手がその場で考えなければならないため、「ちゃんと話を聞いている」ということが伝わりやすい。会話の流れも切りにくい。
あとちょっとだけ、上手い喩えを言い放って「やるじゃん」と思われたい下心もある。
☆ダメな喩えの特徴①伝わりにくい
ここで紹介するのは「ドラゴンボールで言うところのスカウターの数値だよ!」である。
私がいた大学将棋部では部内にレート戦があった。
その昔私が大学2年生のころ、入りたての1年生の子が「レートってなんですか?」という質問をしたことがあった。「実力を数値化した指標」ということを伝えるため、私はしたり顔で上のセリフを言い放ったのだが、今思えば間違いである。
ドラゴンボールは確かに人気だが、全員が中身を把握しているだろうか?
ドラゴンボールを知っていない者からすれば「ドラゴンボール」も「スカウター」も全く分からない。
その1年生の子はドラゴンボールが分かったかどうか分からないが、「お、おう……」という反応をされてしまった。控えめに言って大失敗だ。
同じ失敗は政治や特定のスポーツなど知っている層に偏りのある分野を使った喩えに多い。
☆ダメな喩えの特徴②落差がある
これは先日やらかしたのだが、美容院に行った時のこと。
担当の美容師さんが休日に遠くまで出かけ、「世界で三番目に美味しいパン屋さん」に行ったらしい。世界で三番目というのは誰がどのような基準で決めたのかはとても気になるところだが、多分このお店。
めちゃ美味しそうやんけ……。
で、開店前に整理券を取る必要があって、そのうえで並ぶ必要がある、このお店にはお一人様2個までの商品(ごめんなさい、商品名分からない)があって……といった話をしていた。
それを聞いて私の口から出てきたのは「あぁ、スーパーでよくやってる『卵一人2パックまで』みたいな感じですか?」という言葉。これもよくなかった。
どちらもお客さんに人気が出るから品物がなくなる⇒お客さんに制限がかかるわけだが、その理由は片や「安いから」、片や「美味しいから/人気があるから」であり、そこには落差がある。もっと言うと、文意というか、会話の流れを考えるとなお不適切な喩えだった。
「うん、合ってるけどぉ……そうじゃないの!!」って言わせてしまったのは反省である。
ムリに喩える必要はないのかもしれない
色々書いて思ったのが、ムリに喩えなくても良いんじゃないかということ。
相手の知識(+雑学)範囲を推測し、なおかつ論点がずれない喩えをしようとするのはかなり難しい。単発で上手くいったとしても、それを連続して生み出し続けるのはさらに難しい。
ムリに喩えるから相手は混乱するし、場合によっては気分を害する。そして、「やるじゃん」などと思われたいという下心とは逆行する結果になりうる。
せめて「○○みたいな感じ、ですかね?」と疑問形で締めくくる情けない喩えならば許されるかもしれない。
ちなみに上手く行った喩えもあるので最後に紹介したい。
下の記事にある「会社辞める前に次の転職先探しておく的な?」である。
例によってオチはない。