「了解しました。ありがとうございました。」
数日前の出来事。過去の事。
淡々としていた。ビジネスライクとでもいうべき終わり方だった。
私はペアーズで知り合った女性と付き合ってすぐに別れた。
どれくらいすぐかというと、一週間も経っていない間に別れた。付き合っているという表現がふさわしくないレベルで短い期間だった。
今回は付き合って別れた経緯とその理由を記録しておきたい。
ここで言う記録とは反省文の言い換えだ。
付き合うまで
件の彼女は同い年で、二人で並ぶと身長に差はなし(カモフラージュするためどんな人かはぼかしていく)。
味覚も合うし、話していて楽しいと思っていた。だから、軽い気持ちで付き合ってみたいと思っていた。
そういった気持ちが固まったのが2回目の逢瀬。
3回目の逢瀬。事前にどこに行くかは決めており、それに沿って各スポットを訪ねていた。
最後に美術館を回ってカフェに寄り、お茶をして解散。ここまでは二人で決めていたこと。
そのカフェは吹き抜けた解放感のある造り。12月らしさのない刺すような日差しが室内にこぼれていた。そこかしこにカップルや女性2人組などがいた。とても眩しかった。
そこで一服したあと解散、というのが既定のルートだったが、店を出てから、どうもお互い帰ろうとしなかった。二人して意味なくその辺を歩き回った。
今思えば二人ともぎこちない間合い。
多分、彼女は私から言い出すのを待っていたし、私は言うタイミングを探っていた。”いつ言おうか” ”人がいないところがいいな”と思っていた。
二人してその辺をグルグル回ったあと、見晴らしのいいところで立ち止まった。人気はない。ロケーションは悪くない。深く息を吸い込んだ。
「言いたいことあるんじゃないですか?」
「……付き合ってください」
なんともまぁ情けない男である。パスを出してもらい、やっと言うことができた。
まぁパスがなくても言うつもりではいたんだけどね。いや、本当よ。
とまぁこんな感じで付き合うことになった。
スタート地点に立ったのだ。
別れたいと思った理由
これにて第3部完!と言いたいところだが、そうであればこの記事を書いてはいない。
話はこれからである。
お互い車で来ていたので駐車場へと歩いていった。
その道中だ。彼女が急にこちらを見て言った。
「私たち付き合ったんだから、ペアーズを一緒に退会しましょう!もう要らないですよね?」
言っていることは正論だ。付き合いを始めたのだから、もう他の相手を探す必要はない。
その場でペアーズを解約させられた。正しく言うと、有料会員を解除した(どうやら有料会員を解除しないとアカウントを消せない?らしくこれがその時の精一杯だった)。
だが何かひっかかった。
これは私に対してすぐ言わなければならないことだったのだろうか?
不審に思った瞬間、その日の出来事がフラッシュバックした。
①昼食の際に、免許証を見せあうことを強く望む
②前日に一人で商業施設に入った話をしたときにしょんぼりする(あとで聞いてみたら「私以外にも手を出している人がいるんだ……」と思ったらしい)
続けて、
「これからは末永く一緒ですね!」
「LINEはもっと返信早くしてくださいね!素っ気ないのもイヤ!」
といった言葉がニャースのみだれひっかきのように放たれた。
なんか、決まった路線を走らされている気分になった。
①は分かる。これから付き合うかもしれない人が身分も明かせないような人間だったら……と思うと不安だ。でも②は早くない?
どっちもまだ付き合ってない状態の行動だということも考慮したい。
付き合ったあとの「末永く」というワードやLINEでの振る舞い方なども、距離を詰めすぎでは?と思った。
素直な気持ちを書くと、怖かった。
彼女はためらいなくこれら行動を取っている。すべて予定されたものだったのではないか。
告白したその日のうちに私の気持ちが潮のように引いてしまった。
お別れするか検討、そして踏み切る
でもそれだけで別れましょうと言うのは相手に対して失礼ではないかという気持ちもあった。
個人的にはせっかく掴んだチャンスでもある。その時の刹那的な感情で物事を決めるのはナンセンス。
そこである人に意見を求めた。私がこういった話で相談できる人間は限られているのだが、有識者であるメンヘラ友人に相談した。
結論から言うと、別れた方が良いという考えに至った。
経過を無視して要約すると
・彼女の行動は疑いを晴らしておきたかったという気持ちが主
・それら行動は好きな女性にされる場合、気にならなくね?
・お前そんなに彼女のこと好きじゃねぇだろ
なんで自分のことはしっかりしてないのに他人ごとには的確な意見を出せるんだよお前は。
恥ずかしい話、言い返せなかった。私の心の奥底では彼女を好いていなかったのかもしれない。
婚活なのだから、これから好きになればいいのかもしれない。受け入れられるかもしれない。しかし、私は先を想像することができなかった。
別れることにした。
自分から「付き合ってほしい」と言っておきながらこんな振る舞いはどうかとも思ったが、別れることにした。ダラダラ続けて相手の時間を奪ってはいけない。
別れて良かった
別れると決めてからは早かった。
会って話すのが誠意かと思ったが、早めに切り出す方がお互いにとって良いだろうと判断したため、LINEで「お付き合いの話をなかったことにしてほしい」と伝えた。
返ってきたのが冒頭の言葉だった。
それは丁寧で、あまりに淡々としていた。
もしかしたら引き留められるのではないかという不安(?)もあったが、さっぱりと終わった。彼女はこうなることも想定内だったのかもしれない。
今回反省したいのは相手の時間を奪ってしまったことである。3回の逢瀬並びにやり取りの時間。
この歳になると、小学生のときには分からなかった時間の大切さが分かるようになる。自分の気持ちを理解していないがために相手を振り回してしまった。申し訳ない。
例によってオチはない。